演歌の世界だけかと思われるが、大阪市内には今でも8ヶ所の「渡船」が活躍し、地元の貴重な足として利用されている。その風景は街の中で何か見失ってしまったような昔懐かしい風景ばかりである。 しばし都会の喧騒を離れて全速力で轟音を撒き散らす船のエンジン音に身体を委ねてみませんか?
それでも昼下がりに15分間隔に、船はきっちりと鶴町側から出て船町側に寄ってまた帰ってくる。往復運動ではなく、両岸を円弧を描くように進路をとり15分に1度のセレモニーは終わる。 人がいるとかいないとかではない。ここは道路の一部なんだと感じさせる光景である。そのひたすら「街の足」を守る人々に浅田次郎の小説「鉄道員(ぽっぽや)」宜しくひたむきな男の姿を重ねてしまう。 その手に届く対岸に向かって…